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医の中の蛙 第53回 見送りになったフォーミュラリー

2020年7月30日

 少子高齢化が進み、団塊の世代が後期高齢者に達する2025年に向けて医療費が増大し、医療保険制度の崩壊が危惧されています。医療・介護の提供体制の改革が行われる中、医療費をどう抑制するかが課題です。2017年10月の内閣府の経済財政諮問会議が医療費削減の手段としてジェネリック医薬品の使用を進めるため、病院ごとの「フォーミュラリー」の策定を提案し、2020年度の診療報酬改定の検討項目として議論されました。「フォーミュラリー」とは患者にとって一番適切で、かつ経済的(安価)な医薬品を使用する際の指針です。ところが①処方権の侵害につながる、②診療報酬による評価になじまない、③フォーミュラリー・採用薬の供給が止まると、代替薬の用立てが急には行えないなどの反論で見送りとなったようです。
 欧米諸国では1990年代から導入され、日本でも一部の病院で作成・活用の動きがありますが、限定的です。薬剤師が薬物治療に積極的に参加する体制が構築されてこなかったことが要因として指摘されています。そんな中、某私立の大学病院はフォーミュラリーの導入で、薬剤購入費を前年度比で約2000万削減できたと報告しました。厚労省はジェネリック医薬品の使用を今年の9月までに80%以上達成としていますが、全国平均は70%台にとどまっています。日本では約16,000品目の多種多様な医薬品が発売されており、評価は非常に困難です。当院では薬剤部の努力で、昨年は97%を達成しましたが適切なフォーミュラリーの策定までは至っていません。
 薬の処方は各医師の判断でなされます。そのため大量の在庫を抱える事になります。しかし有効な医薬品を効率よく選択できれば採用薬品数を最小限にでき、期限切れの防止、在庫管理・スペースの効率化が図れ、同種同効果の薬剤が減る事は取り違えなどの調剤エラーの軽減にもなります。その結果、疑義照会や服薬指導の時間が確保でき、病棟業務でも適切な処方提案ができるなど薬剤師の専門性が生かされ、病院の質の向上に繋がると思います。

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