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医の中の蛙 第54回 肘で軽くつつく、現代の魔法

2020年8月13日

 放置自転車で悩んでいた雑居ビルのオーナーが「ここは自転車捨て場です。ご自由にお持ちください」と張り紙したところ放置自転車が無くなったそうです。また、男子トイレの小便器の中に“ハエの絵”を描いたところ、使用者が絵を狙って排尿するようになり、床に飛び散ることが減少、清掃費が8割も減ったという話があります。よりい病院の外来のトイレにも「いつもトイレをきれいに使っていただき、ありがとうございます」と良心に訴える張り紙がしてあるのに気がついていますか?これらは「さりげなく働きかけ、その人が自分の意思で行動する様に導く「小さなきっかけを与えて、人の行動を変える戦略」、ナッジ理論の応用です。2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者リチャード・セイラー博士とキャス・サンテイーン教授が2008年に提唱した概念で、ナッジ(nudge)とは「そっと後押しする」という意味の英語です。つまり「ヒジで軽くつついて、人の行動を変える戦略」です。行動経済学とは心理学を応用し、人間は情報や感情に流されて動くという点を読み解く学問です。レストランでメニューが沢山あると、選ぶのに苦労しますよね。私はよく「本日のおすすめ」の表示があると、迷わずそれを選びます。人は明確な指示には率直に従いますが、何かを決めたり、選ばなければいけない時、この作業が負担で面倒と感じます。「決めないですむ、選ばなくてすむ」が最良です。アンケートや案内が送られてきた時、瞬時に内容が解らないとどうしますか?多分、時間をかけてまで読んで理解しようとはしないと思います。
 以前は患者さんが思い思いに並んで会計が混雑していましたが、床に並ぶ位置を掲示したところ、混雑が減少しました。これもナッジ理論の応用です。ささやかなきっかけを与えることで、人々の行動をガラッと変えてしまうことから「人を操る現代の魔法」とも言われています。この理論、色々な場面で使えそうですね。

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