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医の中の蛙 第55回 100の診療所より三度の飯

2020年8月28日

 「妙薬を開ければ中は小判なり」は、貧乏で三度三度の食事もろくに口にできない病人に「この薬がよく効くよ」といって食費代りの小判を包んで枕元へそっと置くという江戸川柳です。このような粋な計いのできる医師が良医というものではないか。
 昨年の12月4日、アフガニスタンで活動する医師、中村哲先生が人道支援中に銃撃されて死亡したというニュースが流れました。遠い地で日々の診療活動の中、中村先生は病気を治すのも大切だが、何よりもまず、水の確保こそが重要だと医療活動に加え、利水事業を始めた様です。薬で渇きや飢えは癒せない。必要なのは清潔な水だ。100の診療所より1本の用水路を!の思いで用水路建設を手掛けたようです。ジャーナリスト・原山建郎さんの言葉を借りると、白衣を脱ぎ、ツルハシを手にして、ブルトーザーの操縦桿も握る、まさに大地の医者となった。
 道路も通信網も教育も女性の権利も大切な支援です。でもその前にまずは食うことです。最大の望みは家族と毎日、三度のメシを食べることです。衣食足りて礼節を知る。まさに命の言葉に聞こえます。
 ひと頃、高校の進学指導にあたって偏差値が上位だから医学部に進めという指導がなされたことがありました。しかしそれだけでは医師として適格かどうかの判断はできません。名医も必要だが、学力は最高でなくても相手を思いやる心、人をいつくしむ心を持っているというのが医師としての第一の資格であると思います。全国の私立医科大学の多くで「良医を目指す教育」を謳っています。一人でも多くの良医が育つことを願いたい。

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